22世紀の民主主義
選挙はアルゴリズムになり、
政治家はネコになる
メカゴリラ評価
読みやすさ: | (5.0 / 5) |
おもしろさ: | (3.0 / 5) |
インプット量: | (3.0 / 5) |
著者 & 出版社
著者
成田 悠輔 先生
出版社
SBクリエイティブ
発行年月日
2022年7月15日 第1刷発行
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。
専門はデータ・アルゴリズムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。
丸と四角のヘンテコ眼鏡と独特のファッションでテレビや動画メディアに多数出演し話題をさらっている今をときめく方です。
youtubeチャンネルの【日経テレ東大学】が特に有名ですね。
私もこのチャンネルで成田先生を知りました。
大物にも物おじせず、言いたいことをぶつけるスタイルは芯をついているとともに、エンターテイメントとしてもおもいしろいです。
PLANETSは個人的に大好きな番組です。ここでも成田先生の発言はおもしろく興味深いです。
こんな人におすすめ!
こんな方はぜひ
・成田悠輔先生ファンの方
・政治、特に選挙について知りたい方
・民主主義を考え直したい方
この記事を読んでいる方のほとんどは成田先生をご存知だと思います。
知らない方は上にも載せてある、日経テレ東大学の動画を中心に先に見てみましょう。
動画を視聴したうえで、考え方やキャラに共感できる方・尊敬しもっと話を聞きたいと思った方にはぜひおすすめです!
政治や選挙・民主主義についての考え方はとても複雑で答えがあるものではないと私は思う為、人それぞれの信条や環境に大きく左右されると思います。
共感できない方はこの本は買うべきではないと思います。
まあこの記事を見てくれているかたは、成田先生のファンの方でしょう!
ファンの方は動画だけでなく、ゆっくり考えて読める書籍は買いだと思います。
youtube等の動画だけではなく、活字を読む、本を読むということから遠ざかっている方・苦手な方に対しての読書への入り口になってほしいなと思います。
なぜ購入したのか?
成田先生は好きだけど、
積読たくさんあるし、新書だしな…
待ち望んでいた!
本を読むのが大好き。成田さんの考え方には共感するし尊敬する。
そんな私は、成田さんの書籍を待ち望んでいました。
上記動画はとてもおもしろいので成田先生ファンの方はぜひ見てみてください。
編集者の箕輪厚介さん(大ファン)、コメンテーターの若新雄純さん(大ファン)と最高の組み合わせです!
この中で箕輪さんが、成田先生の本を出したいと言っており、私はぜひ実現してほしいと思っておりました。
成田先生は露骨に嫌がっていたので、書籍は難しいのかと思っておりました。
しかし、箕輪さんと全然関係ない出版社からしれっと書籍を刊行しておりました(笑)
これには笑えましたし、待ち望んでいたのでぜひ、購入したいと思いました。
新書はなるべく買いたくない
書籍は大好きなのですが、まだまだ読書したい本はたくさんあり、積読本もたくさんあります。
そんな状態でkindle unlimitedのサブスク登録もしてしまい、圧倒的に読書が追い付いておりません…。
しかし我慢できませんでした!
仕事の移動中にふらっと寄った書店で、最後の1冊がランキングコーナーに置かれていたのを発見。
今買わないと!と謎の焦りから購入(笑)
結果的には大満足ですが、やっぱり実物を見てしまうと我慢できないものだと思いました(笑)
新書で買っても税込みで1000円を切るのでリーズナブルですし、買ってよかったと読破後、思っている為、良い買い物ではありました!
内容
章タイトルで韻を
踏んでるのは、わざとだろうな(笑)
目次
・はじめに断言したいこと
・要約
・はじめに言い訳しておきたいこと
・故障
・闘争
・逃走
・構想
・おわりに
上記の章立てでつづられております。
冒頭に要約を入れて結論を先に導いていることは、珍しいなと感じました。
言い訳は…成田さんらしいですよね(笑)
本書内で自分が感銘を受けた・気になった点を一部抜粋していきます。
新書の内容を書くのは少しばかりはばかられる気持ちがありましたが、
本書内で切り抜くなり、パクるなり、リミックスするなり自由にしてほしい。
との記載がある為、私の感想を交えつつ記載していきます。
民主主義の失われた20年
民主主義の失われた20年とでもいうべきこの現象は、中国と米国を除いても、G7諸国を除いても成立するし、どの大陸・地域でも見られる。グローバルな現象である。
書籍「22世紀の民主主義」より
日本でも良く言われている『失われた20年』というものは、日本だけでなく世界的に発生していることだそうです。
日本以外の世界の情勢は私はあまり詳しくはありませんが、本書でも書かれているように、コロナ対策の意志決定スピードや、実施施策を見ても、多大に感じられると思いました。
コロナ禍での『人命か経済か』は的外れだった
コロナ禍初期によく議論された『人命か経済か』という二者択一(トレードオフ)の議論が、おそらく的外れなことも意味する。現実には人命も経済も救えた国と、人命も経済も殺してしまった国があるだけだったのだ
書籍「22世紀の民主主義」より
厳しい現実だと思いました。しかもデータにより明らかにされてしまっている…。
これが民主主義によるものだけなのかは少し疑問を感じましたが。
国のリーダー達にも左右されていると思います。
しかしながら、そのリーダーを選んだのは民主主義では私たち『国民』であるから、それは衆愚政治であり、民主主義の欠陥なのだろうかと考えさせられました。
と衆愚論を考えていたのですが、次の項にてそれを否定している内容でした。
20世紀は民主主義が発展したことにより、経済成長をしたのだから、衆愚政治とは結び付けられないと。
先を読まれている感じがして、読書が気持ちよかったです(笑)
民主主義はダメなのか?
酒が人間をダメにするんじゃない。人間はもともとダメだということを教えてくれるのだ。
立川談志氏
成田先生はこの言葉の、【酒】を【民主主義】に置き換えておりました。
言葉遊びではありますが、単純に面白かった点です。
民主主義の問題
本当に問題なのは、情報通信環境が激変したにもかかわらず、選挙の設計と運用がほとんどへんかできていないことだ。
書籍「22世紀の民主主義」より
古代ギリシャの時代からメディアと民主主義は深い関係にあった。
しかし、SNSやグローバルメディアが発展したした現在に、民主主義・選挙が追い付いていない。
という内容です。
本書の核心に迫ってきた感じがします。
続きが大変気になります!
そして資本主義が加速する
現在の基本的な考え方である、民主主義と資本主義。
民主主義という手綱が意識を失っているから、からこそ資本主義が加速していると記載されています。
間違いなく私もそう思います。
正直、自分の考え方の変化も資本主義に振り切れているからだと感じさせられました。
民主vs専制の聞き飽きた二項対立を超えた民主主義の次の姿への脱皮。
書籍「22世紀の民主主義」より
闘争・逃走・構想で順に考えていく。
非常に続きが気になります!
闘争
闘争とは、現状に基づく民主主義の仕組みや考え方をそこそこ前提としながら、調整や改良を施していくという方法。として成田先生は章立てしております。
その内容を一部抜粋していきます。
シルバー民主主義
政治家が主な主権者である高齢者の顔色を窺わないといけない状況。今の日本ですね。
実際まじまじと感じます。何か痛みを伴う改革や変革が必要なのに、マスである保守の高齢者に寄り添わないといけない…。
自分が歳を重ねたとき、固まった考えにはなりたくないと常々思いますが、実際保守的になるんだろうなと思うと悲しいです。
政治家をいじる
政治家の給料を成果報酬にする。
聞いたときの最初の私の感想は「う~ん…」というやや否定的な感想です。
シンガポールのような所得者の中央値を取るという方法
経済や雇用に関する分野ではおもしろいなぁと感じました。むしろこれは政府ではなく、民間の取締役たちがこうあるべきだなあと思いました。
シンガポールの方法も短期ではいいが、長期では足りないと本書で書かれていますが、自分も同じ感想を持ちました。
感想
給料を中央値にするという考えはおもしろいが、何か足りない気がする…。
それは長期的な視野での分野や、研究といった分野でもそうだと感じるが、もちろん自分には何が足りないのかわかりません!
分かれば民主主義は進歩するので、私自身にはわからなくて当然ではありますが…。
データで指標を作るのが現実劇だが、その変数nに何を設定するのか?どれくらいのnがあるのか?
全く想像がつきません…。
メディアをいじる
SNSの速度・量・質をいじることが書かれています。
積読している宇野常寛さんの『遅いインターネット』を思い出しましたが、やはり脚注で参考文献として『遅いインターネット』が挙げられていました。連想するのは当然でした(笑)
kindle unlimitedや新書を読んでる暇があったら、積読をなんとかしないとな…(笑)
選挙をいじる
ある世代だけが投票できる世代別選挙区を作り出す。
投票者の平均余命で票を重みを付ける
未成年など選挙権を持たない子の親に代理投票権を与える
感想
正直どれもしっくりこないと感じました。
少し共感できるのは選挙権を他の人に譲渡できる液体民主主義的なもの。
自分の信頼するインフルエンサー等に票を譲渡するのは選挙や政治に興味のない人にとっては身近で有用なのではないかと思いました。
ネット投票が現状難しいのであれば、選挙に行く人にはインセンティブを与えるべきだと私は思いました。
それこそマイナンバーカードに紐づけた電子マネーの送付でいいと思います。500円程度で。
金融機関の登録をした人、マイナンバーカードの所持者のみに限るにすればマイナンバーの普及にも繋がるのではないかと私は思います。
反論はあると思いますが、そこまでしないと選挙にはいかないと思う私です。
私自身、選挙に行ったのは1回か2回…。
政治には当然興味もあるし、日本が好きだし、良くなって欲しいとすら思っています。
それでも仕事が忙しく、投票日には当然行けず、事前投票にも参加しようという気持ちがあるが優先度が低くなり、結果いかない。
それほど選挙に行くことに現状はインセンティブが無いんだと思います。
国民の権利の選挙権ではあるが、権利として機能していないとすら思える…。
ただ、私がしっくりこないのも当然でした!
著者の成田先生は、この選挙の仕組みを変えて民主主義の改善を図る【闘争】という行為はすでに諦めていると記されていました…(笑)
逃走
次に起こるのは資本主義革命ではないかという過程での話が進められています。
民主主義が無く、資本主義のみではどうか?という話がありますが、現在の世の中もそういった様相になっていると思う。
結局、資本主義では富裕層と貧者との分断を生むというのは現実目の当たりにしているし、そうなっていくんだろうなと感じました。
構想
選挙なしの民主主義は可能だし、実は望ましい。
書籍「22世紀の民主主義」より
インターネットや監視カメラが捉える日常の中での言葉や表情や体反応、安眠度合いや心拍数・・・等々のデータを参照に。
とあるが、全てのデータを取ることは中国のような管理体制と同様なのでは?と少し疑問を覚えました。
無意識民主主義
データを集め人々の無意識の情報からアルゴリズムによって正しい政策等を出力する。
書籍「22世紀の民主主義」より
出力をアルゴリズムによって行うというのはいいと思いました。
そしてその情報を無意識の多数のデータ群からというのもよくわかります。
感想
無意識データを管理する会社があるのか…。それとも国家が管理するのか。
民間が管理するのであれば、GAFAと同様、結局、資本主義の大渦に飲み込まれてしまうのではないか?と感じました。
そして、それは現状の日本ではすごく難しいことなんだろうなと感じました。
マイナンバーカードの情報ごときで、個人情報がうんたらかんたらと揉める日本にとっては、老人や情報リテラシーの低い人たちから反対意見が多数出るのではないかと感じます。
ただ、健全(?)な政治運用を行っていくには、これをやりきる人物が必要なのだろうと感じました。
こういった点で、英雄的な指導者がいる場合の専制政治は強いのだと感じ、堂々巡りになってしまいました。
政治家はネコになる
アイドル・サンドバッグとしての政治家はネコやゴキブリに置き換えられる。
書籍「22世紀の民主主義」より
おもしろい表現だが、その通りだなと思いました。
アルゴリズムにより政治運用が行われれば、実際の政治家の仕事は政策議論や国会での議論ではなく、国民にとってのアイドル的要素とサンドバッグ的要素のみになる。
いまの日本も、アイドル的要素しかない政治家がたくさんいる気がするのは気のせいかな?(笑)
ネコやアルゴリズムに責任が取れるのかという疑問
成田先生は、そもそも人間の政治家は責任を取れているのだろうか?
と逆に投げかけております。
正にその通りだと思います(笑)
レビュー
完全な主観での評価・批評です。
気分を害される方がいたら、ゴリラの戯言だと思いご勘弁ください。
本書を読んだ時点での私の評価になる為、時が経った後で評価は変わると思いますが、読んだ時点での私の知識量に基づいた評価になります。
メカゴリラ評価の軸
・読みやすさ → 文章の構成や章立てにて評価、書籍の種類によっては画像や図も参考に
・おもしろさ → 単純な内容の評価、喜怒哀楽すべての感情含めて
・インプット量 → 知識を得られたかの評価、単純な知識や価値観も含めて
読みやすさ
読みやすさ: (5 / 5)
成田先生の声を想像し、
頭で再生される(笑)
重ねてになりますが、私はyoutubeをはじめとした、動画コンテンツにて成田先生を多く拝見しています。
その中で成田先生の考えには多く触れていて、共感することが多かった為、読んでいる際に疑問が生まれることや、理解できないことはほとんどなく、すらすらと読めました。
普段読書をしない方でも、成田先生の考え方に理解できる方にはおすすめできる書籍です。
ユーモアのある言い回しや、問答無用に矢を立てる切れ味するどい言い回しも書籍内では健在です(笑)
おもしろさ
おもしろさ: (3 / 5)
独特な表現方法やユーモアは健在!
選挙や政治、民主主義といった、正直小難しくて敬遠するような内容の本ではありますが、
成田先生のユーモアある言い回しや歯に衣着せぬ物言いから、切れ味鋭く、読書時の気持ちよさすらあります。
読みやすさも相まって、スラスラと楽しく読書の時間を遅れました。
インプット量
インプット量: (3 / 5)
動画を追いすぎた…。
正直、動画等を追いすぎて成田先生ファンになりすぎておりました…。
本になり、細かく整理され理論立てて説明されてはおりますが、根本的な考え方や思想は、普段の成田先生の考えでした(当然ではありますが)
その為、新しい発見や未知のものに触れるといった感動はほとんどありませんでした。
しかしながら、脚注・参考文献がしっかりと巻末にしっかりと章ごとに明記されており、理由となった書籍・コンテンツを追いたいという気持ちにしっかりと応えてくれる内容になっており良かったです。
参考文献や、脚注が全くない書籍は正直恐いですもんね(笑)
総評 おわりに
良くも悪くも成田悠輔さんの書籍です(笑)
成田先生ファンの方はゆっくり書籍を読む・考え方にゆっくり触れる機会としてぜひいいのではないでしょうか?
良く知らない人は1度youtubeで動画を見ることをおすすめします。
私自身は政治や選挙については、興味があり好きなのですが、書籍になると小難しいだろうなと少し敬遠しておりました。
しかし、この書籍を読み改めて他の書籍も手に取ってみたいなと思いました。
また気になる書籍があれば、政治の分野でも迷わず購入していこうと思います。
まずは積読を片付けてからになりそうですが…(笑)
メカゴリラ成長度
成長度: (3 / 5)
成長したこと
・民主主義や資本主義への考えが深めれた!
・経済と政治の関連性に少し興味を持てた!
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